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役員借入金は不動産の代物弁済で精算できる!鑑定評価が役立ちます

決算報告書・法人税

「役員借入金が多すぎるので精算したい」という悩みを抱える企業は多いもの。
会社が資金繰りのために役員からお金を借りたり、役員が経費をいつも立て替えているうちに多額になって未払い状態になっているケースは珍しくありません。
役員借入金は無利息で返済時期が明確でないことが多いので、長期化しやすいのです。

これを放置しておくと、社長ご自身の相続税で困ったり、会社が融資を受けようとするときに困ります。
役員借入金は、役員側から見ると貸付金なので、相続財産に含まれます。
相続財産が基礎控除を超えるときには、役員借入金を減らす・清算する方法を考える必要があります。

役員借入金の清算方法の1つに、法人の所有する不動産を役員に代物弁済する方法があります。
代物弁済する不動産の時価やタイミングしだいで、相続税だけでなく法人税の節税につながるケースもあります。
逆に、多額の納税額が発生してしまうおそれもあります。
代物弁済は税務上の影響が大きいため「不動産の適正な時価」の見極めが重要なので、不動産鑑定を取得すると安心です。

この記事では、役員借入金の返済が難しいときの精算方法として、代物弁済を詳しく解説します。
タイミングやコストなどの注意点もあるのでご参考にしてください。

1. 役員借入金が膨らんで、事業承継も見据えて悩んでいる企業が多い

まず、役員借入金の内容や、そのまま返済しないでおくとどんな問題が生じるのか見ていきます。
役員借入金を減らしたり消滅させるにはいくつかの方法があり、代物弁済はそのうちの1つです。

1-1.役員借入金とは

役員借入金とは、法人が役員から借り入れた資金(借金)です。
経営者側から見ると、役員から法人への貸付金ということになります。

役員借入金を使った資金調達は、資金繰りに余裕がないときの応急処置として便利です。
開業時の経費を役員が立て替えたり、事業で発生する経費を役員が立て替えることで増えていきます。

役員借入金は、無利息で返済時期も自由なので経営の様々な場面で使いやすいです。
役員借入金は資金繰りに余裕があるときに返済すればよいため、長期化して高額になりやすいのが特徴です。
長年の経営で役員借入金が膨らんでいるケースは、多くの中小企業で見られます。
これをそのままにしていると、役員の相続対策や、事業承継を考えるにあたって悩みの種になります。

1-2.役員借入金を返済できないと、相続や融資で困る可能性

役員借入金が残ったままになっているときに困るのは、相続と融資の場面です。

役員が亡くなると、役員借入金(会社に対する貸付金)は、相続資産になります。
「お金を返してもらう権利」ですからプラスの財産です。
社長の遺産総額が相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるときには、多額の相続税が発生する可能性があります。

役員借入金が膨らんでいる場合にもう一つ困る場面が、銀行から融資を受けようとするときです。
役員借入金は貸借対照表上の負債なので、資産よりも負債が増えて債務超過になっていると、融資審査で不利になる可能性があります。

1-3.役員借入金を減少、消滅させる方法(精算方法)

役員借入金を返済する資力がない場合には、どうしたらよいのでしょうか。
金銭で返済する以外にも、役員借入金を精算する方法はあります。

(1)代物弁済
代物弁済とは役員借入金(=借金)をモノで返済することです。
会社が不動産を所有しているなら、お金の代わりに不動産で代物弁済する方法は有効です。

(2)債権放棄(債務免除)
役員が貸付金についての権利を放棄する方法です。

(3)債権の贈与
役員が貸付金を後継者に贈与する方法です。

(4)債務の資本化(DES:デット・エクイティ・スワップ)
DESは債務と資本の交換です。会社に対する債権を現物出資します。

代物弁済した上で、残ってしまう役員借入金を債権放棄するなど組み合わせるケースも考えられます。

2. 役員借入金を代物弁済したときの影響【法人側】

役員借入金を不動産で代物弁済すると、税務上どのような影響が生じるのか、一般的なケースを見ていきます。下記にあてはまらないケースも考えられるため、代物弁済を行うかどうか検討する際は税理士にご相談ください。

2-1.土地の時価と簿価の差額は「売却益」または「売却損失」

まず注意が必要なのは、土地の時価と帳簿価格の差額です。
土地の帳簿価格は取得したときの価格です。
例えば帳簿価格3,000万円、時価が4,000万円の土地を代物弁済したら、土地の売却益1,000万円を収益に計上します。
逆に、帳簿価格よりも時価が下がっていれば損失を計上します。
代物弁済を行う不動産の時価と帳簿価格に差があるときは、会社の利益や損失に影響するという点がポイントです。

2-2.役員借入金よりも土地の時価が上回るなら差額は役員賞与または役員退職金

役員借入金よりも土地の時価が上回るなら、差額は役員賞与になります。
役員賞与は定期同額給与ではないので損金不算入で法人税の課税対象です。

ただし、役員の退職に伴って代物弁済した場合、不相当に高額でなければ役員退職金として損金に算入できる場合があります。
このとき、退職金として現物給付する旨の総会決議も必要です。

2-3.消費税の課税対象に注意

通常、消費税の課税対象は「消滅した役員借入金の金額」になります。
ただし、代物弁済で消滅する役員借入金が、不動産の時価の50%未満の場合は注意が必要です。
この場合は低額譲渡とみなされて、「不動産の時価」が消費税の課税対象になってしまうおそれがあります。

3. 役員借入金を代物弁済したときの影響【役員側】

役員借入金が残ったまま相続が発生すると、額面どおりの相続税評価です。
役員借入金の代物弁済として不動産を受け取ると、一定の要件を満たせば「小規模宅地等の特例」を使えるので相続税の節税につながります。
小規模宅地等の特例では、事業用の土地の場合は400平米まで80%、貸していた土地は200平米まで50%減額されます。

相続以外の点では、受け取った不動産から得られる賃貸収入を退職後の生活に使えるという点もメリットです。
ただし、役員借入金よりも土地の時価が大きい場合には、贈与税が課せられるおそれがあります。

4. 役員借入金を不動産で代物弁済するときの注意点

役員借入金を不動産で代物弁済するときには、「コスト」「タイミング」「時価」にご注意ください。

4-1.不動産取得税と登録免許税のコストがかかる

代物弁済にはコストがかかります。
不動産が譲渡されると、受け取った人に不動産取得税が発生します。
不動産取得税=固定資産税評価額×税率
という計算になります。
また、登記を移転する際に、登録免許税と司法書士への報酬も必要です。

4-2.タイミングしだいで税務上の影響が変わる

代物弁済によって生じる税務上の影響は非常に大きいので、代物弁済のタイミングには細心の注意が必要です。
役員借入金と時価の差額が「役員賞与」になると、損金不算入です。
役員が退職するタイミングで代物弁済を実行すれば、損金に算入できる可能性があります。

また、法人の本業による利益または損失が大きいタイミングで実行すれば、代物弁済によって生じる損益をうまく処理できるケースもあります。

4-3.時価しだいで課税上の影響が大きく異なる

土地の時価と役員借入金のどちらが大きいのかによって、様々な課税関係が生じます。
法人税、消費税、相続税、贈与税等を複合的に考えて有利な方法を税理士とともに検討する必要があるでしょう。

代物弁済を行うときには、適正な時価を証明できる資料として、不動産鑑定を取得しておくと安心です。
不動産鑑定評価書は税務署に提出できる正式な証拠資料になります。
代物弁済に伴う会計処理の疎明資料として、リスク回避のための鑑定評価をおすすめします。

なお代物弁済ではなく、役員と法人で不動産を「売買」するときの税務や注意点はこちらの記事で詳しく解説しています。
同族会社間・役員と法人の不動産売買に鑑定評価は必要か?

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